地味子ロック
歪み(1/32)
「……」
「……」
お弁当の時間はやっぱり気まずい。
「…ミュージカル、だよね、学祭」
少し、話をふる。
ミホは私を一瞬見て、お弁当に視線を戻した。
「うん」
「…何やるんだろうね」
「さぁ」
「…ポスター、どういう風にするか考えないと」
「ミズキって何がしたいわけ?」
「え?」
「別に」
「………」
何か、いけないことを言ったのかな。
ミホが明らかに「これ以上話したくない」という空気を出していて、
声が出せない。
なんだか息が苦しい。
「ごちそうさま」
ミホがお弁当箱をしまう。
それをぼんやり見つめた。
私の視線はお構いなしに、ミホはアイちゃんグループの方に行ってしまった。
「ミホちゃんって子、何か冷たいね」
「えっ、うわっ!?コハルちゃん!」
「あはっ、ミズキ驚きすぎ〜」
いつの間にかコハルちゃんがいて、笑っていた。
「な、なんでコハルちゃんが…」
「んー、コハルね、ミズキが最近元気なかったのなんでかな?って思って、マナ達に聞いてみたの!
そしたらミホちゃんって子のせいかもって言うから〜」
「………ぁ」
確かに、前にマナちゃん達とミホの話をした。
マナちゃん達は私の味方だと言った。
「ミズキの気持ちわかるよ、
友達からあんな態度とられたら、コハルだってすごく辛いし…」
「コハルちゃん……」
「大丈夫!コハルはミズキの味方だからっ!
ねぇ、暗い話はやめてお菓子食べよ!
今日キョーコがめちゃでかい袋買ってきてさぁ!
コハル達だけじゃ食べ切れないしミズキも一緒に!
みんなミズキのこと歓迎するよっ!」
コハルちゃんのぱぁっとした笑顔に頷くと、優しく手を引かれて、
慌ててお弁当をしまって、
ギャルグループにお邪魔させてもらった。
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