西川寓話集
9[イモムシと閻魔大王(戒名)](1/1)


死んだイモムシが、閻魔大王の前に連れて来られました。

閻魔大王が言いました。

「その方、名は何と申す」

イモムシは答えて言いました。

「釈〇〇〇〇〇と申します」

「おかしいなぁ、

私の資料では西川直也となっとるぞ」

「それは、俗世での名前で、

今は釈〇〇〇〇〇と申します」

「釈ということは、仏法を習得し、

戒律を守ったということか?」

「はい、一応」

閻魔大王は烈火のごとく怒り

「バカモン、全てお見とうしじゃ

死んでなお、

この閻魔を騙そうとという了見か

地獄へ落ちろ!」

イモムシは閻魔大王を騙そうとした罪で地獄に落ちました。

イモムシは思いました。

戒名なんか、付けてくれなきゃよかったのに。

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