西川寓話集
6[イモムシとトカゲ(じゃんけん大会)](1/1)
昔々、あるところに、イモムシ村がありました。そして、この村では毎年豪華商品をかけて、じゃんけん大会を開催していました。
ある日、この村にトカゲの教祖がやってきました。トカゲの教祖は家々を回りこう言いました。
「じゃんけん大会に勝ちたければ、
この御神体を拝みなさい
そうすれば、必ずや勝利出来るであろう」
イモムシ達は喜んで、御神体を買いました。
そして
一回戦が終わった次の日、トカゲの教祖は家々をわまり、勝ったイモムシの家でこう言あました。
「いかがでしたか御神体の御利益は?」
勝ったイモムシ達は
「実に素晴らしい、教祖様のおかげです」
と言ってお礼の金を差し出しました。
トカゲの教祖は続けて言いました。
「あの御神体はあくまでも一回戦用です。
二回戦には二回戦用の御神体が必要です。
せっかく、一回戦を突破したのに、
このまでは勿体ない」
教祖の話に説得されイモムシ達は、二回戦用の御神体を買いました。
そして、負けたイモムシ達には
「あなたはいったい何回拝んでいたんですか」
と、聞き
イモムシ達が、それぞれ一日一回とか一日三回と答ると、
トカゲの教祖は
「あまい!
そんな信仰心でどうして勝てようか、
御神体をなんと心得る?」
と、イモムシ達を叱りつけた。
「一日十回以上拝みなさい」
と言って、贖罪のためのお金を集めた。
そして、二回戦、三回戦と進み、五回戦になるころには、イモムシ達は払うお金が無くなってしまいました。
トカゲの教祖は町中のお金を集めて次の町へと出て行きました。
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