†人形少女†
6†[真相の行方(前)](1/32)




誰でも多かれ少なかれ、嘘をついたことが一度はあるだろう。


高宮麻人もその一人で、良くないことに彼は嘘をつくことに罪悪感を抱いていなかった。



何故なら、嘘つきの親に育てられたからである。



「あ、父さん。悪いけど、資金援助頼むよ」


麻人はぞんざいな口調で、会社から帰宅した父親の隆二に言った。


高価な背広を身につけた隆二は、渋い表情を作る。



「……またか?先週、二万円やったじゃないか」


と言いつつ、分厚い革の財布から一万円札を取り出した。


しかし、息子に甘いダメ親父、という単純なものではない。



「金のかかる彼女がいるから大変でね……ククッ!じゃあ、有り難くちょうだいするよ」


麻人は父親の手から一万円札を引ったくるように受け取ると、二階の部屋に戻って行った。



「ハァ……」


階段の下では、父親が重いため息をついていた。




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