私にだけ甘い王子様
[14](1/15)
それから、2人と別れて家へと向かった。
王子様から既に連絡がきていた。
部屋で待ってる、と一言。
それを見るなり私はもうすぐ着くよと返信した。
なんだか、気持ちがとても軽くなったようだった。
またちゃんとともくんにもお礼を言って、王子様にはしっかり好きだって伝えたいなってそう思った。
「っ……」
だけど、そんな私の目の前に現れたのは。
目を真っ赤にして涙を流すひなたさんだった。
「……ひ、…」
名前、呼んだらまた呼ばないでって言われるかもなんて思って口を閉じた。
王子様と話して、それからずっと泣いてる、のかな。
じっと、彼女と目が合って、すぐに向こうから目を逸らした。
王子様は、何を言ったんだろう。
「……で、……」
小さく小さく、弱々しく。
震える声が微かに聞こえる。
「……なんで、あんたなの……」
前の威勢のいい姿は嘘みたいに、今は弱っていて。
「………うぅ、…」
また涙を零すから、思わず近寄った。
きっと今私はいやな奴だ。
今だけじゃなくて、彼女からすればずっと、か。
- 190 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり挿入
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
[編集]
[←戻る]