私にだけ甘い王子様
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「あれ?よもぎ?」


2日後。

今日はバイトもないので買い物に出かけていた。買えてなかった夏服とかいろいろ買い終えてひと息つこうとお店を探していると、偶然目の前をともくんが通った。

ちらっと目が合って、彼が大袈裟に二度見したのでぼーっとしていた私も気付いたのだ。


「久しぶりだね。今日部活は?」

珍しくともくんが私服を着ているのでそんな疑問を投げかける。

いつもいつも部活っていうイメージがあるからなあ。


「今日はオフだよ。よもぎは?1人?」

「うん。夏服買えたし今から休憩しようかなって」

と、手にいっぱいの買い物袋を見せた。


「じゃあ俺も一緒していい?」

という言葉にすぐうんと返事をしかけたけど、自分のなかで一時停止する。


……私、王子様と付き合ってる、のにいいのかな。
偶然だし、ただ一緒にお茶するだけだし、いいよね……?


「あ、もしかして王子と付き合ったとか?」

返事に困っていると、ともくんが閃いたようにそう言った。


「え、あの、……うん」

なんだか、恥ずかしさと申し訳なさというか。一応私を好きでいてくれた人なわけで。そう思うことが絶対にいけないことなんだろうけど……。


「そっか!よかったな。おめでとう」


だけど、そんな心配もよそに、ともくんは本当に優しい笑顔で祝福してくれた。


千砂ちゃんに伝えたときも、自分のことのように喜んでくれたっけ。


なずちゃんや青衣くんはもちろん。
周りの人に恵まれてるなあ、なんて思ってすぐに、ひなたさんが頭をよぎってしまった。









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