私にだけ甘い王子様
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『…で、逃げたと』

「ち、違うってば!」

その夜、なずちゃんから電話があってどうだったかと聞かれたので、今日のことをすべて話した。


逃げた、というのはもちろん語弊だ。

実はあのあとすぐ私に学生部から電話があって、提出した書類に不備があったそうで急いで学校に戻ったのだ。

王子様は用があるとのことでその場に残ったので実質そのまま分かれたことになる。

確かに助かったとは思ったけど、逃げてはない。


『まあそれはなんでもいいけど、ドキドキした?』

なんて、声がとても楽しそう。にやにやしてるんだろうな。

「したよ!心臓が飛び出るかと思った。…けど…」


本当に。なのに王子様は平然としてて、なんだか悲しくなったんだ。

嬉しいとかそんな感情の前に不安が襲ってきて、自分でもバカみたいだって思ってるんだけど。



『あのさ?まだ何もしてないんだから勝手に悪い方向に考えるのはどうかと思うよ?』

少し、鋭い言い方に変わる。

ドキッと心臓が、跳ねた気がした。


『不安になる必要ないじゃん。素直に喜んだり楽しんだりしなよ。そんで、しっかり王子様と向き合って、萌黄から王子様に近付けばいいよ』

ね?と、なずちゃんは言う。

そういえば、最初の頃にもなずちゃんは王子様と向き合えって言ってた。


どこまで、わかってたんだろう?魔法使いみたいだ。


「あとで電話してみる!ありがとう!」



私から、王子様に。


少しでも知りたい。知らないことをなくしたいんだ。






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お久しぶりです!猫田です!
更新再開しました!

また夏頃に試験があったりするのでまた更新頻度が減ったりすることもありますが、ぜひ最後までお付き合いくださいュュ

よろしくお願いします!!


猫田







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