私にだけ甘い王子様
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「おはよ、萌黄」
「お、おひゃよう!」
翌日、1限。ああ、最悪。
あのあと結構すぐに私たちは寝たせいで、いつもよりはやく目覚めた。
おかげで準備するのに時間はたっぷりあって、教室にも余裕を持って着いた。
なずちゃんも眠たい眠たいって言いながら結局間に合った。
そして、相変わらずギリギリに、王子様と青衣くんはやってきた。いつも通り青衣くんが王子様を迎えに行ってあげたんだと思う。通り道だし。
「ふふ、どしたの」
と、私の見事な噛みを笑う。どうしたもこうしたもないよ。
「勢いが、余ってしまった…」
ていうことにしないと、なんだかバレてしまいそうな気がした。
あれだけ好きにならないなんて言っておきながらこうも好きになってしまったから。
王子様は冗談だったのに、私だけ本気、なんてことだったら本当に、悲しいから。
「なにそれ」
いつもの綺麗な笑みを見せながら、私たちの前に座った。
私の前が王子様で、なずちゃんの前が青衣くん。なんだかいつもの感じ。
少し離れた所にいる女の子たちが、うっとりしたように彼らを見るのもいつもの感じだ。
私だけ、いつもと違う。
ダメだ、ドキドキしてしまう。
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