私にだけ甘い王子様
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お昼ごはんを食べると、次は3限。辺りの人も少しずつ減ってきた。
「なんだ、一緒じゃん」
食べたものを返却口に持っていき、なずちゃんたちのところに帰ると青衣くんがそう言った。
一緒?何が?
「あ、萌黄。次の専攻王子たちも一緒だってさ」
待ってましたと言わんばかりの眩い笑顔でなずちゃんは言った。
何回も言うけどその笑顔は別のときに見たかったよ…。
「ってことだから次の教室いこ」
王子様も、相変わらずの綺麗な笑顔を見せながら私に言った。
断る理由なんかないし、いつのまにかなずちゃんと青衣くん仲良くなってるし頷くしかなかった。
***
「このあとなずなちゃん借りるね。バッシュ買いに行くんだー」
授業が終わり、前に座っていた青衣くんが振り返って言った。
「あ、どうぞ…」
…待って、なずちゃんと青衣くん、一緒にどっか行っちゃうってこと、だよね?
あ、けど、王子様は4限あるかもしれないじゃん。そうだよ、きっとあるよ。私はないけど。
「じゃあ俺が責任持って萌黄を家まで送るね」
と、王子様まで振り返って、笑った。この人結構笑うんだななんて不意に思ってしまった。悔しい。
「頼んだよ、王子様」
なずちゃんは頬杖をつきながらまたにやにやしてる。
「はいはい」
王子様、ちょっと冷たいけどなずちゃんにはそんなにえげつない態度出さないから嬉しい。
「帰ろ、萌黄」
「……うん」
ていうかやっぱり無理だった。結局私断らないし。まあ帰る場所一緒だし、仕方ないのかな…。
じゃあね、と二手に分かれて、私たちは学校を出ることにした。
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