眠り姫に恋をする彼と私の物語
二人だけの秘密(1/14)
それから雨宮さんとは結局カラオケに行かないまま、卒業式まであっという間に時間は過ぎた。
卒業式当日、今まで想いを募らせていた女の子達が憲ちゃんに駄目元で告白していた。
やっぱり私はそれを見ているだけで。
どこかで私はいつでも憲ちゃんに会えると思っていたんだと思う。
だけど現実は生活の時間も違うし、お互い忙しく顔を見る事も減っていた。
新しい環境、新しい友達、今までと違う学校生活に追われる日々。
後で知った事だけど、憲ちゃんと雨宮さんは同じ学校だった。
私は変わらず憲ちゃんが好きで、憲ちゃんの気持ちも変わらないものだと信じていた。
そんな生活も一年過ぎた頃だった。
「もしもし」
『あ、歩美?今大丈夫?』
「うん」
ちょうど空き時間に憲ちゃんから電話がかかってきた。
こうやって声を聞くのも久し振りだ。
電話もメールもあまりしないから何だか嬉しかった。
『今日学校終わったら暇?』
「うん、特に予定ないよ」
『鈴姉ん所行かない?』
「え、うん、いいけど」
時間と待ち合わせ場所を決めて電話を切った。
高校を卒業してから一緒にお姉ちゃんの所に行くのは初めて。
私は学校が終わるとウキウキしながら待ち合わせ場所まで足を運んだ。
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