眠り姫に恋をする彼と私の物語
揺れる想い(1/16)
「気をつけて!」
「叔父さんまたね」
「来年も来てね!」
束の間の夏休みを満喫し、叔父さん夫婦に笑顔で見送られながら私達は東京へ帰った。
「あんた何夏休み満喫してんの」
夏休みが終わり学校に行くと早々、私の日焼けした肌を見て真っ白な香織に首を絞められた。
憲ちゃんと…という事は内緒にしようと思う。
その日のうちに先生に進路を決めた事を伝え、自分なりに探した学校を相談した。
「加藤の成績だったら頑張れば大丈夫だろ」
というお言葉をもらって今まで以上に勉強に励んだ。
今までと気合いの入れ方も違う。
憲ちゃんはというと、部活をやっていた割に帰宅部だった私より頭が良い。
憲ちゃんに出来ない事って何…?
て感じだ。
そんな憲ちゃんは
「今日お姉ちゃんとこ行くけど行く?」
「あ〜今日は友達と勉強するから」
最近お姉ちゃんの所に来ない。
私と行かないだけで一人では行ってるんだろうけど。
ただ、私と勉強する時間は減っていた。
受験まであまり時間もないし、頭が良くたって勉強はしなきゃいけない。
集中したいのかもしれない。
でも何か、寂しい。
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