眠り姫に恋をする彼と私の物語


夢は見ていますか?(1/22)





夏休み前になると『どうしよう』と言う声も減り、受験の色が一層濃くなる。

そんな中私はまだ進路を決め兼ねていた。

みんな部活に、遊びに、恋にかまけているかと思いきやちゃんと将来の事を考えてるんだもんなぁ…

最初の進路希望ではとりあえず大学進学と書いておいた。

でも大学ったって学びたいものによって学部が別れているわけで。

何の目的もなくただ学校に行くのは嫌だった。

かといって先の決まらない私はどうやって選べばいいんだか…


「まだ悩んでんの?」

「んー」


お昼休みに大学案内を見ている私に肘をつきながら尋ねる香織。

香織はそこそこいい大学に行って、会社の受付をやるんだとか。


「一流企業の背の高い優しいイケメンを捕まえるの!!」


と息巻いている。

今からそんなんで将来が不安だ。



「でもさ」



大学案内と睨めっこしている私から視線を外し、賑わう教室を眺めた。



「17、8の私達に将来何をしたいか考えろなんて簡単な事じゃないよね」



夢を持っている人はいい。

だけどそんな人ばかりじゃない。

夢があったって、叶えた大人達はどれくらいいるのだろう。

結果ではなく過程。

大人達はよく言うけれど。

人生の挫折を知らない私達はそれをどう乗り越えるのか想像もつかない。







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