お面の恋。
いざ、勇気を出しまして。(1/18)





下駄箱にローファーを戻し、剣道部の部室へと向かう。


さっきまで動揺しまくっていた心は不思議と落ち着き、今は真っ直ぐ自分の気持ちと向き合える。


あたしは、柳川先輩でもなく、狐お面でもなく、坂木が好きだ。

それに気付いたのはついさっきだけど。


たくさん迷って悩んできた中で、

あたしはやっと本当の気持ちに気付けたんだ。


部室に入ると、部員達は全員揃っていて、坂木だけまだ制服姿だった。


「遅かったな…例の先輩彼氏とイチャついてたのか?」


「…あら、坂木君こそ、どうしてまだ制服なのかしら」


「俺は今から着替えるんだよ」


「ちょっここで脱ぐなよ!」


思ったよりいつも通りに話せてる。


「女子の前でパンツ一丁になれる神経疑うわ!」


「女子?女子とかここにいたっけ?」


「何だとう!?」


「おらおらイチャつくのは後にしろ、練習始めるぞ」


文句言ってやりたかったけど渋々練習を始める。


「夏子、タオル」


「ほいよ」


「お前、相変わらず可愛くない渡し方だな…」


「はいお茶」


「いてぇ!ほっぺたに刺さってるっての!」

わざとだと言うのに。

ムカつくからぐりぐりしてやる。






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