今は冬。
雪のちらつく寒い冬。
凍えそうな程に寒い冬。
まだ夕方だというのに辺りは真っ暗。
黒いマフラーに顔を埋める。
帰路。
街灯は不気味に点滅を繰り返す。
学校周辺はいつも綺麗に清掃・整備されている。
しかしここは違う。
少し学校から離れただけで全く別世界。
異様である。
一体、どちらが?
いつでも美しい景観を保つ金持ちの街と、
いつも薄暗く汚い庶民の町。
どちらが異様なのだろうか。
僕にはわからない。
わからなくてもいい。
そんなこと、
どうだっていい。
ポケットの中に入れている手。
その中には血のついたナイフ。
それを握り締め、アパートを目指す。