××なあたしと、黒いオオカミ



棊U惑(1/11)








小百合に突然言われたこと。


そんなの嘘に決まってる

そう分かってるはずなのに、心の一番奥の何かがあたしに囁くんだ。





“まだ、好きなんでしょ?”



















バスケの県大会が近くなってきた

来週の土曜日

理人はもちろんスタメンで出場する。

今日も蒸し風呂のようになっている体育館で朝から練習していた。


そんな彼の様子をぼんやりと眺める。



“バスケは歩いてはいけないスポーツなんだよ”



初めて理人に教えてもらったときはすごく驚いた。


だって、みんなこんなにコートの中を駆け回っているのに



“でも、止まったらいけないんだ”



そのあと笑いながらそう付け足した理人の言葉に、完全に混乱してしまったのをよく覚えている。




その後も、覚えの悪いあたしに丁寧に、分かりやすくルールを教えてくれた。


熱っぽく話す彼のテナーはいつまでも聴いていたいと思うほど綺麗で、優しい響きをしていた。



彼が鮮やかなジャンプシュートをする度

風のように駆けてレイアップをきめる度

その時のことを、思い出す。






「あ!理子ちゃん」



あたしを呼ぶ声で我にかえる、

なんだか………夢でも見てた気分



呼んだのは、同じクラスの女の子。

走ってきたのか少し息が上がっている。




「どうしたの?」




「なんかね、校門の前で他校の人が待ってるよ」




「他校の人?」



一瞬、小百合の顔が頭をよぎった。











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ちょっと休憩***

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