梭テい雲(1/16)
クスクスと笑い声が聞こえて、はっと我にかえる。
「どうしたの?固まっちゃって」
にこにこと笑いかける浩輔。
「どうして…そんなことが言えるのよ……!」
小百合と寝たくせに、
あたしの代わりなんていくらでもいるくせに………
「うーん、理子が好きだから?」
「――――――――!」
目を細め、甘い微笑(えがお)になる彼
その“好き”って響きだけで、
あたしの中に幸せな思い出が鮮やかによみがえってくる。
「俺さ………あの後理子から連絡なくて………本当にショックだったんだよ?」
「…………………………」
「理子のこと
忘れられなくて……―」
そっと、あたしの頬に触れる彼の指
嫌だって思うのに、
痛いほど思い知らされる
あたし、まだ―――――
「もう一度、やり直さない?」
「浩輔…―」
あたしは――――
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