曚elebration(1/15)
〜理人side〜
「あー、やべ、のどかれたかも」
隣に座っていた山内が少しかすれた声で言う。
今、俺たちはカラオケボックスにいる
もちろん、男バス高2メンバーで
フリータイムを利用していて、かれこれ4時間密室にいるけど
既にみんな歌わず、雑談になっていた。
「そういえば坂田、田村さんに告られたらしいじゃん」
ケータイをいじっていた荒井がふと言った。
「え!?マジかよ?」
山内が食いつく。
「えーっと、ああ、髪の長い子?」
そう聞くと、コクコク頷く荒井。
確か田村さんは髪の長いキレイな子だった。
背が高くて、ちょっとキツめの美人。
「しかも、こいつ………フったんだぜ?しんじらんねー」
「そうだ!せめて一発ヤってからにしろよー」
「…………お前ら………ホント飢えてんな」
井上が氷の溶けたコーラを飲みながらあきれている。
「別にいま女に困ってないし、彼女とか面倒だから」
冷たく言う晴樹。選曲用の機械をいじりながら、隣の井上とクスクス笑っている。
「なんだよ………はぁ………いいなぁ………俺も田村さんとヤりてぇー……」
「俺もって、別に俺は田村さんとはヤってないから。それに山内は彼女いるだろ?ヤったら浮気じゃん」
山内には半年ほど前から付き合っている彼女がいる。
「だって………アイツ全然ヤらせてくれねぇーし」
そう言う山内に、
「あそこの締まりも悪いし?」
と、つけ足す荒井。
「俺、飲み物とってくる」
ゲラゲラ下品に笑う山内たちをおいて立ち上がる。
防音の重たいドアを開ける。
個室の中と外の温度差に少し戸惑った。
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