+[狐面と陸と師範?](1/2)
「あー、では殺って殺って殺り合おうか、少年」
狐面の男は刀をしっかり持ち直し、軽く構えた。
陸はそれを見て、どうしたもんかと思案に明け暮れてみる。
なぜかというと、
刀を全く扱った事がない!
のであったりして、刀を止めるには刀だと咄嗟に刀抜いたら抜けちゃって、つーかこれどうやって使うんだよ、相手なんか連戦錬磨っぽくないかっ?と大混乱している始末。
もちろんそれは相手にとっては隙がありすぎるわけで、
「少年からこないなら、俺から行くぜ?」
狐面は音もなく、刀を振りかざす。
――まじで誰か助けてくれっ!
そう陸が強く願った時、陸の後方からガシャーン、とガラスが派手に割れる音がした。
狐面の男は瞬時に刀を引き、再び身構える。
「いやいやいや、刀をあっさり抜くお前に驚いたけど、何よりそれで助けないと。って思って何も考えずに飛び出した事にもっと驚いた」
ギシギシ、とフローリングを踏んで歩いてくる音。もちろん、近づいてきている。
そしてその声の持ち主に、陸は心当たりがあった。
「あ、兄貴……?」
陸が振り向くとそこには、やはり陸と同様に線の薄い美形な青年がいた。
が、髪の色は染めているのか、オレンジ色で、黒縁の伊達眼鏡をかけていた。
「よぉ、元気だったか?僕は元気よん、なんつって。ぎゃはは」
そして兄貴と呼ばれたその青年は足を止める事なく、狐面に向かって歩いていく。
「悪いけど、出直してくんねえかな」
狐面に向けて、青年は説得してみた。しかし狐面は、ハッ、と鼻で笑う。
「刀くれりゃ、俺は引くけど。くれねえなら考えるぜ」
だよねー…なんて、うんうん。と頷く青年。
狐面は軽くケンケンをしながら、
「邪魔するならテメェも切るが」
と言った。そして、
空中でピタッと止まった。
「あ?」
狐面は訝しげに呟いた。
「お?」
青年は変わらず、にやにやと笑っている。
「テメェ、何したよ…?」
青年は狐面に近づく事を止め、指先をくいくいと動かす。
その指先の動きに応えるように、狐面の服が締めあがって行く。
そして青年は、笑った。
「ほんのちょっとした拘束、ってやつ?」
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