となりの××事情【完】
eros.06 泣かないで麻生くん(1/17)
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数週間ぶりに図書委員の当番の日がやってきた。
放課後、図書室にて。もちろん隣には麻生くん。
麻生くんとは、普通といっちゃ普通なんだけど、なんとなくよそよそしい関係がかれこれ続いていた。
というより、麻生くんが最近、異様に私を遠のけている気がする。
「麻生くん」
「ん、どうした?」
「……なんでもない」
「ふふ、なにそれ」
普通なんだ。
普通に話すし、普通に笑うし。
なのになんでだろう。明らかに前とは違う。一定の距離があるというか。
私と麻生くんの間には壁ができてしまったような気がする。
『……イライラする』
『な、なんで?』
『木下さんにイライラしてる自分にイライラする』
『えっ麻生くん!?』
麻生くんをイライラさせてしまったあの日から、何かが変わってしまった。
気がするだけかもしれないけど。
未だになんでイライラさせてしまったのかわからない。
次の日の麻生くんの態度は至って普通で、だから聞くタイミングを逃してしまった。
そう、普通すぎるんだ。
この普通に違和感を感じる。
「あ、麻生くん」
「なに?」
「わたくし、麻生くんに聞きたいことがありまして……」
イライラさせてしまった理由が知りたいのに、またイライラさせたらどうしようって思うとなかなか聞けなくて、ずるずる引き伸ばしてきてしまった。
けど、今日こそは必ず聞くと誓ったので、めげずにもう一度麻生くんに話しかける。
(内容を忘れてしまった方はP38〜40を読んで頂けるとわかると思います!)
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