アザレアの恋
[無題](1/3)





「…あ、もしもし…」




「ん?なんだよ」




低く甘い声


「あ、のっ…今日、さ…帰って来れる、かな…?」


「あー、無理だわ今日は「もー、はやくこっちきてぇ?」




…あ


「ぁ、…っ、うんっ…分かった、バイバイ」



ピッ



僕の好きな人、そして彼氏でもある


椿さん



本当にかっこよくて、まぶしくて僕の憧れの人


高校の時、初めて椿さんと会った時


あまり、喋るのが苦手な僕の話を聞いてくれて優しく笑ってくれた人


そんなの初めてだった


それから、僕に話かけてくれるようになって


男同士なのに、椿さんに惹かれていった


告白したとき、引かれるのを覚悟で言ったら返事はオッケーだった


嬉しくて、もっと知りたい、知ってほしいと思ったのは初めてで自分でも少し驚いた



…でも、


高校を卒業して別々の大学に入ると

関係は薄れていった


椿さんは僕といるときも女の子とメールをして、

もう、僕の顏も見てくれなかった


笑顔もみせなくなった



…わかってた


男同士なんて、長くは持たないって

僕みたいな男より、可愛くて柔らかくてっ…、ちゃんと皆に認められる女の子のほうがいいって


いつかはこうなるって


わかってたけど…


会うたびに、胸が締め付けられて

好きなんだ、手放したくない…離れたくないって


自分がこんなに酷い醜い人間だって気付かされた



「椿さん…今日、何の日か覚えてますか…?」


今日は、僕たちの誕生日ですよ…?


椿さんと僕は誕生日が同じだった


それを知ったとき椿さんは

運命だって、言ってくれた


嬉しかったっ…


でも、もう僕は必要とされてないらしい


去年はまだあってくれた、なにもプレゼントもなかったけどそれでも

会えただけで、嬉しかった



「も、…駄目なのかなっ…」


つーっと、涙が頬を伝わる


ブーッ…ブーッ



…電話?











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