※この章の後半には、残酷な表現と性暴行の表現がありますので、苦手な方はP52〜P54は飛ばして読んでください。
先日、編集長さんと遼と椎名さんに会ったきり
僕は椎名さんに会えてなかった。
今まで、偶然とか椎名さんが来店してくれたから会えてたものの
こんなに長い時間、椎名さんの顔を見ない日が重く苦しい時間だとは今初めて気がついた。
あまりに長い時間で
もしかしたら、椎名さんという人は本当に僕の近くに居たのだろうかという錯覚さえ覚えてしまう。
しかし、手元にあるこの椎名さんの名刺が 彼女が実在してることを実感させる。
僕は、ある事件によって女性に恐怖感を感じるようになってしまった。
治療である程度良くはなって、女性と喋ったりはできるようになった。
だから、店頭にも立てるのだが
触れる嫌悪感がどうしても消えない。
接客などでちょっと指などが触れても、胸が苦しくなって呼吸が乱れる。
だけど、それも最近は慣れた。
椎名さんは・・・そんな僕の症状を覆す程に
初めて触れたいと思いたくなる人だった。
あの人を知れば知るほど、あの熟れたような紅い唇に触れてみたくなる。
どんな甘さか知りたくなる・・・。
そんな衝突と、僕はいつから闘っているのだろう。
これはただの男の欲求の醜い部分なのか。
それとも・・・あの人に惹かれてしまってるのか・・
どちらかはまだよくわからない。
ただ、今分かるのは・・・
あの人が、僕の頭の中を占拠し始めている。
顔を見かけない1週間程で、その面積がどんどんと広がっていってること。