アンラッキーセブン
[5.波乱の幕開け](1/12)
俺の在籍する1−Bは、入試試験の得点順に分けられたA組に次ぐ頭脳クラスである。
中学時代は遊ぶ金など無いに等しく、暇つぶしに教科書を開いていたら自然と頭が良くなったのだが、トップになることは無く、常に4番5番をふらふらしていたのがなんとも俺らしい。
そんな俺の成績は学年で46位、1クラス40人で構成されているから、あともう少し頑張ればA組も夢ではなかったかもしれない。
そのA組よりも更に上のクラスがこの学園にはあるのだが、それが1−Sと呼ばれる特別クラス。
AからF組までの学力に応じたクラス分けに対し、S組は選定基準が大きく違う。
学力云々は二の次で、名門の家柄と類稀なる才能の持ち主ばかりを集めた、学園内でも群を抜くスペシャルクラスだ。
S組が特上なら、A組は上の上・中、B組は上の下と、なんとも中途半端な位置にいる俺だが、それに関しての感想は特に無い。
どうやらB組の生徒も同じように、我関せずといった考えの者たちが集まっているらしい。
そんな、なんとも心強いB組の雰囲気にも慣れ、クラス全員の名前と顔がようやく一致した4月下旬のこと。
「明日、あのS組に転入生が来るらしいぞ!」
クラス内で一番の情報通として知られる新聞部所属の内藤が、教室へ入ってくるなり大声で叫んだ。
彼の父親は某出版社の社長らしく、ネタを探すため地道に足を使い、情報を得るため頭を使う、そんなジャーナリストとしての術を今のうちから養っていると、本人から聞いたことがある。
ちなみに俺は無所属で通すつもりが、担任から1年は絶対だと言われ、悩んでいるところに斎木風紀委員長サマとばったり出会い、強制連行されて今に至る。
つまりは望まずして風紀委員になったわけだが、一般的にはその名の通り、委員会として分類されるため、部活動とは別の形態にあるらしい。
しかし、この藤稜学園は風紀委員の存在が必要不可欠らしく、皆が部活に勤しんでいる間、彼ら、いや俺たちは学園全体を正常化するという大きな役目を担っているのだ。
と言うわけで、
ややずれた時期に転入生が来る 、
+ 話題のネタ提供で学園中が大騒ぎしかけている、
= 風紀委員の出番となりそうなのである。
気が重い俺をよそに、クラスの皆が騒ぎ出した。
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