[物忌み](1/12)
翌朝、朝餉を済ませた晴明は髷を結い、烏帽子をかぶる。
「天空、念のため屋敷に結界を張っておけ」
【承知】
「玄武は何かあった時のためにこちらに待機だ」
【わかった】
晴明はテキパキと神将に指示を出す。
出仕に遅れてはならん。
片付けもそこそこに、晴明は陰陽寮へと急いだ。
陰陽寮にて。
「安倍殿! 安倍晴明殿!!」
「なにか?」
「陰陽頭からこれを」
陰陽生から文を受け取ると、晴明の顔は嫌そうに歪む。
そこに書かれるは妖怪の討伐命令。
私以外に頼まんか!!
内心煮えたぎる気持ちを抑え、陰陽生に礼を言う。
「………あぁ、そうだ。私はこれにて退出する。急ぎのようなのでな」
「あ、はい!」
「それから、数日の物忌みをする」
「え?! 安倍殿!?」
それに返事をせず、晴明を文を握り締めながら退出の準備をした。
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