[記憶](1/20)
夜が明け、瑠衣の修行についていたが、どことなく集中力に欠けているように見えた。
「おい……」
「え?」
「え?じゃない。どうした、ボーッとして」
晴明は呆れたように瑠衣を見て溜息を吐く。
疲れているのか、白虎が原因か。
「疲れているなら少し休むか」
「あ、うん……………」
「んじゃ、お茶を持ってくるから縁側にでも座っていろ」
瑠衣を残し、炊事場に向かう。
《晴明様。そのようなことは私たちにお任せを》
「いや、いい」
慌てた様子の天一の申し出を断ると、気配で沈んでいるのがわかった。
何故か申し訳ない気分になる。
「………私が運ぶだけでいいようにしておけ」
《! はいっ》
あぁ、私は神将たちに弱いな。
炊事場にたどり着くまで少しあるし、天一なら既に準備を終えているやも……。
一つため息をついて晴明は炊事場へと早足に進む。
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