アシンメトリー
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痛み
目が覚めたのは、眩しさからだった。
電気を付けっぱなしだったのか。私はいつも真っ暗にして布団に入るから、自分の部屋じゃないってすぐに分かった。
眠らないって思ってたのに、うっかりうたた寝してしまったらしい。
ぼんやりした頭で視線だけ動かした。
…夢じゃなかったんだ。私はまだ黒木さんの腕の中にいて、耳元では彼が静かな寝息を立てている。
こうして見ると、結構幼い顔をしてるんだな。外国人の血が混じると大人っぽくなるって聞いたけど、この人は真奈美ちゃんの遺伝子が強いらしい。
抜けるように白い肌、さらさらした直毛の細い髪。どんなに抗ってもあの母親から産まれたんだ、美しさはしっかりと引き継いでいる。
無防備な姿だなぁ、本当に。寝顔を見るのは二度目だけど、こんな風に抱かれながら真横で感じるのは全然違った。
ちょっと開いた唇から白い前歯がのぞいている。ケロイドを近くで見られるのを嫌って、右側を避けてたのはほんの少し前なのに。
今では私の前で拗ねて怒って照れて、キスまでさせてくれるようになった。
ああ、好きだなぁ…。黒木さんの内面に触れてからは余計に傷痕にも惹かれてる。
起こしちゃうからしないけど、本音ではもっと何度でもキスしたい。飽きるまでキスして、あの恥ずかしがって真っ赤になるとこが見たい。
これじゃあやっぱりセクハラだな…。黒木さんに言われた通り私の感性は狂ってる。寝起きでここまで考えるってかなり危ない子だ。
彼のあったかい胸にくっついて、目を閉じて体温を感じる。うとうとと気持ち良くまどろみ始めた時、ふと気づいた。
ツンと鼻につくタバコの臭い。
リビングに…人の気配がする…？
ドクン！と大きく心臓が脈打って目を開いた。部屋が明るいのは電気のせいじゃない。薄いカーテンから差し込む太陽の眩しさだ。
嘘だ…今って朝！？
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