あなたの温度
[17.殺](1/16)
17.殺

「亜希…。」

「ん…ヒロト?」

あたしを呼ぶ声がして目を開けると、ヒロトがあたしを心配そうに見下ろしていた。

「ゴメン、大丈夫か?」

「大丈夫…愛をいっぱい感じて幸せ。」

あたしが笑って言うと、ヒロトは頭を撫でてくれた。
あたし達は夕飯も食べていなかったので空腹を感じ、とりあえずお風呂に入って、ヒロトが夕飯を作ろうと冷蔵庫を開けた。

「あ、今日買い物行こうとしてたんだ…何もねぇや。どうしような…今日はファミレスにでも行くか。」

冷蔵庫がほぼ空っぽで、もう二十三時を回っていたので、あたし達はファミレスに出掛ける事にした。


「モデルやろうって人間がこんな時間にご飯なんて…プロが見たら呆れられるよね。」

「…亜希は元が細いし、毎日そういう訳じゃねぇんだし大丈夫だろ。」

あたし達は頼んだパスタをつっつきながら会話をする。

「でも今後撮影前とか気を付けなきゃだねぇ…。」

「まぁな…でもお前すぐ無理するから心配だ。」

ヒロトはそう言いながら、あたしの頭を撫でる。

「なんか今日やたら頭撫でてくれるね。」

「そう?無意識だから分かんねぇ…でも、妙に亜希が可愛くてさ…。」

ヒロトはそう愛しそうにあたしを見つめた。

「ヒロト、ここファミレスだからね?」

「…分かってるよ。だからそろそろ出ようぜ…亜希とキスがしたい。」

ヒロトはそう言いながら立ち上がり、会計しに向かう。あたしはその後ろをついて歩き、お店を出た。
ヒロトはあたしの手を握って足早に歩く。

「亜希…ん。」

車に乗り込んだら、ヒロトはあたしに顔を近付けた。
キスして、と顔に書いてある。

「ん…。」

あたしは、一瞬唇が触れ合うようなキスをした。
ヒロトはそんなあたしの頭を引き寄せて、もう一度自分からキスをしてきた。

「帰って寝るか。」

深いキスをすると、また止まらなくなるので、ヒロトも自制して、あたしから離れた。

その後帰宅して、あたし達は手を繋いで眠った。




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