あなたの温度
[5.闇](1/8)
5.闇

内藤はあたしの姿に涙を流した。

「何てこと…どうして貴女ばかりが…。」

あたしは膣内の洗浄と、あちこちについた擦り傷やら切り傷の手当てをしてもらった。
それから…血液検査。薬を飲まされた事で、身体に異変がないか見てもらった。

終わった頃には、やっと自分の足で立つことが出来ていた。

血液検査の結果は薬によって数値が高くなっている部分はあるが、完全に抜ければ問題ないだろうとの事だった。

あたしにとって三日くらい経ったつもりでいたが、実際にはたったの四時間ほどしか経っていなかった。

その四時間ほどで、あたしは廣瀬に何度抱かれたか分からない。
気を失いかけては、薬を飲まされ、それを繰り返していたので、ひどく時間が流れた気がしていた。

廣瀬はヒロトが知る限り、六つマンションを所有しており、警察が二手に分かれてマンションをあたっていたらしい。
途中、廣瀬が出掛けていたから、車を発見出来ず時間がかかってしまったようだ。


駆け付けた両親に、ヒロトは土下座した。
自分が今後は守っていく、幸せにする…そう約束したのに守れなかったことを謝った。

父さんも母さんも、ヒロトに何も罪は無いから、と言い、あたしとヒロトを一緒に抱き締めた。


翌日から何度か警察からの聴取を受け、全てが終わった頃、あたしにある変化が起き始めていた。
あたしは、昔のヒロトの様に感情、表情を失い始めていた。

何だか急に全てがどうでもよくなってしまった。
何もしたくない、何も考えたくない…誰にも会いたくない…


あたしはあたしの部屋から出なくなった。
学校も、辞めると言ったが、両親がとりあえず休学にしようと言うので休学にした。










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