愛するセカイ
[歩み](1/1)


〜歩み〜




それぞれの道を進んで
それぞれの道を歩んで
それぞれの道を見据えた。

誰かが僕を見捨てるのが
僕が誰かを見捨てるのが
怖かった。
誰かが僕を忘れるのが
僕が誰かを忘れるのが
当たり前かのように
成長していくのが
怖かった。

怖いと思っていた出来事も
成長してみればあっけなく終わった。
出会いと別れを当たり前のように体験した。
成長した自分に虚しさを覚えた。

就職先で不景気のせいかクビにされた。
行く宛てが無かった。
一通の手紙が届いた。

今更、行ける訳無いと思った。
僕は彼女のことを忘れたんだ。
約束したじゃないか。
僕は君のことを忘れ
君は僕のことを忘れると。

僕は行く宛てが無かった。
電線に乗る雀、高層ビルの並ぶ都会。
プラットホーム、電車の音、駅員の声、鬱陶しい前髪。
全てが濁って見えた。
全てが歪んで見えた。
全てが淀んで見えた。
そんな自分が
哀れに見えた。
「そんなアンタを助けに来たんだ」
振り向くと彼女が立っていた。

僕は当たり前を疑った。
当たり前を?
?崩された。

それぞれの道を進んで
それぞれの道を歩んで
それぞれの道を見据えた。
そして僕らは一周して


僕らのそれぞれが始まった。






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