『テープ』
リ[黒木](1/1)


爽やかな朝






爽やかな赤井の寝顔








どこからともなく聴こえる叫び声








「あれ?」
「チッ」
「何でやねん!」






「何で」









「ないねんっ!!」








ん〜ん〜と渋い目を擦る赤井






赤井の視界には空き缶だらけの散らかった部屋で落ち着きなく慌てふためく佐田が映る




赤井、ダルそうに時計を眺めて
「…まだ…6時。っすよ?先輩」






「ない」

「何が?…ですか?」

「ない」

「…だから、何が」





佐田はテレビと繋がるカメラを指差す


「あるじゃないですか、カメラ」

首を横に振る佐田

「は?…んあ〜黒木ですか?」





急にハッとする佐田



「そういや…あいつ、どこ行った?」

「帰ったんじゃ?」

「あいつしかおらん」



外出の準備をする佐田



「ちょっと!どこに」



ピタリと止まる佐田


「…テープがない」


「昨日の?」


頷く佐田


「でも何で?」


「黒木しかおらんやろうが、現にここにいない」

「いやあ…でも黒木が盗んでも…盗んだところで俺等しかおらんかった訳で、バレるのは当たり前な状況で?普通…」


「そんなん知らん、それだけ自分の欲求に正直な奴。ちょっと普通じゃないぐらいお前も分かるやろう、目見れば」


黙る赤井

「とりあえず黒木の家行くから、俺」


佐田は簡単な上着を羽織る

「でも佐田さん?」

「?」

「知らないでしょ、家」
「…」





「俺は知ってますよ」




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