もしも"死神"だったら。


代償 ( 1/2 )








「 んー、とりあえず住む場所確保できへんから。俺の家でもええか? 」


と数時間前に龍崎さんちの鍵を渡された。当の本人はこれから収録があるとかで次の現場へ行ってしまった。


「 芸人も大変やな 」


私はと言うと、先程から美晴写眞館付近の角に隠れている。大阪で買ったあのカメラを持って。

入ろうかどうしようか迷っていると、シャラシャランと写眞館の扉が開いた時の鈴の音がした。


「 あ、もじぃ… 」


辛そうな咳払いをしながらもじぃが出てきた。たった数日しか此処を離れてないのにもじぃの身体はなんだか弱々しく、かなり小さくなってしまった気がした。


「 もじぃっ… 」


かけようとした言葉は貴方には届かなかった。届かないことを望んでいたのかもしれない。シャッターを切る。


「 …やっぱり 」


そのフィルムには私が今、一番愛しいと思える姿が焼き付けられただろう。私の瞼の奥は違ったけれど。







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