お迎え ( 1/7 ) 結局、私は大阪へ帰ってきてしまった。なんちゃあない。元通りの生活をしていくだけ。 「 あんた、何処行くん 」 「 んー、ちょっと 」 少し、人の多い街に出た。私と同じくらいの人が沢山いて、恋人や友達同士がこんな雨の中でも幸せそうに歩いていて… 「 私…全然、幸せちゃうし 」 もじぃのいない世界はこんなにも孤独だと思い知らされるんやな。当たりを見渡しているとひとつのお店が目に入った。 カメラだ。 「 …… 」 中から写真は良いぞともじぃの声がする。 「 もじぃっ! 」 「 いらっしゃい 」 勿論、迎えてくれるのはもじぃじゃない。でも入った甲斐はあった。 「 …これ 」 「 カメラ、興味ある?これは昔売ってた一眼やねん。もう他の所では売ってへん代物やな。でも、これよりこっちの方が質もパワーアップしててええで。値段も変わらへんし。姉ちゃん美人やから安したるし。 」 「 …いや、この古い方でええわ 」 それはもじぃが大切に使っていたカメラと同じモデルのやつ。一度も触らして貰えんかったカメラ。 「 …はぁ、おった 」 「 …なんで? 」 店を出ると見覚えのある人が立っていた。 mark |