もしも"死神"だったら。


死ぬより辛いこと ( 1/6 )








「 …は、別れる?別れるってなんだよ、どういうことだよ! 」


鍋嶋秀太。


「 秀太の女遊びにはもう付き合ってられないって言ってるの 」

「 ちょっと待てよ、先に浮気したのはお前の方だろ 」

「 …何よ、お互い様でしょ。お笑い芸人なんていつまでもガキみたいに夢ばっか語って、浮気までして。少しは私の気持ちも考えてくれたことあった? 」


彼女は私は幸せな結婚がしたいのと一言残して部屋を出ていく。鍋嶋は長年付き合っていた彼女に愛想をつかされ別れを告げられる。


「 なんでだよ… 」


携帯を手に取り、相方の番号に電話をかける。俺、死ぬわと一言残して。

そして彼は2時13分、マンションの屋上から飛び降りて自殺。


これが鍋嶋秀太という男の運命。

私を苦しめた男の呆気なさ過ぎる最期がこれだ。本当にどこまで迷惑な男なのか。


時間は1時38分。私は鍋嶋の家など知らないし、探してももう一時間切っている。助けられない。

せめて、楽にしてあげられるように病院に駆けつけていい思い出を見せてあげよう。まぁ、即死じゃ無理やな。

私は何事もないようにミルクティーをすすった。








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