隣人問題
☆[第七話](1/1)
再発射
朝、太郎は眠い目を擦りながら雨戸を開け外を見ると、向かいの2階のベランダで、金田正平が異常なまでに腕を回している光景に出くわした。
その足元には大きなゴミ袋。
太郎は再び目を擦ると、「あちゃ…」と洩らした。

正平はおもむろにゴミ袋を手に取ると、まるでハンマー投げの選手の様にブンブンと振り回し、凄まじい雄叫びと共に一気にそれを放り投げた。
「えっ?えっ?えっ?」
ゴミ袋は集積所には目もくれず、日村家を悠々と越え遥か彼方へと飛んで行った。
「…何処へ投げたんだ!?」

数分後、米元からの電話でその行方が判明した。何と米元宅の近くの集積所に着地していたというのだ。


米元は怒った。
「これは町内会に対する挑戦だ!」
米元は即日に町内会議を開き、この行為を強く非難した。今回は網代も中島もさすがに庇いきれず、町内会より[制裁決議]が出された。

これに対し金田家は「制裁には報復を!」と強く反発し、「こんな決定をした町内会に入っている理由はない」と町内会からの脱退を匂わせた。

「という訳なのよ」
太郎は眞紀子から事態の流れを聞かされた。
「金田さんって町内会に入ってたんだ…?で、制裁って何なの?」
「回覧板をまわさないんだって」
「……そすか」
「一体どうなるのかしらねぇ?」

町内には異様な緊張感が加速度的に高まっていった。

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