隣人問題
☆[第一話](1/1)
ゴミ問題
ご近所とのトラブルというのは時代や所が変わっても尽きる事がないようで。

都内に住む会社員、日村太郎も例に漏れず、ある問題を抱える事となってしまった。

残業を終え帰宅し、玄関のドアを開けるや否や、妻の眞紀子の「ねぇ、ちょっと聞いてよ!」の言葉に出迎えられた。
また始まった。きっとまたどうでもいい近所の噂話だろう。話半分でぼんやりしていると、「ちゃんと聞いてる?」
「あぁ、聞いてるよ。」
今日の話題の対象は向かいに住む金田さんのようである。どうせ奥さんが新しいバッグでも買ったかなんかだろう。

「それをポンポンとウチに向けて投げてるのよ!」
「は?投げる?バックを?」
「違うわよ、だから言ってるじゃない!ゴミよ!生ゴミ!全然聞いてないんだから」

話によれば、今朝ウチの角にあるゴミ集積所に眞紀子がゴミを出しに行くと、向かいの金田宅の二階からゴミの袋が飛んできたという。それが一つや二つではないらしく、その内のいくつかは我が家の塀に当たり集積所に着地する始末。
おまけに生ゴミときたもんだから塀には汚れが付き、また臭いも酷いときた。

「あれじゃいつウチの庭に入るかわからないわよ」
塀の内側には眞紀子が丹精込めて育てた花が植わっている。確かに大きなゴミ袋が誤って落ちてきたら一溜まりもない。
「でね、町会長に電話したのよ」
「えっ?あの会長に言ったのか?」
町会長の米元は町内の様々なトラブルに精力的に介入してくれるが、その解決法がやや強引な為あまり評判は良くない。

何だか面倒な事になりそうだ…太郎は言い知れぬ不安を抱きながら、すっかり話題が変わった眞紀子の近所の噂話をぼんやり聞いていた。

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