[悲劇の始まり](2/8)
「おっと、入山のが先に来ちまった。夏風邪でもひいたかな、小野田」
三木はそう言ってすごすごと自分の席へと退散していった。
「いきなりですが、落ち着いて聞いてください。
昨日、このクラスの小野田美千留さんが海で亡くなりました。高波にさらわれたところで足がつって、そのまま……溺れて……」
担任の入山は、まだ若い先生だった。
俺らに話している途中で涙ぐみ、言葉が継げなくなってしまう。
前方で三木が震え始めるのが目に入った。
俺は、小野田が死んだ実感なんかどこにもなくて、どこか他人事のように、それを眺めていた。
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