歪な愛のカタチって

◇[ハジマリ](1/8)
「あー、オレもうオンナいらね」


彼の口からこのセリフを聞くのは何回目になるのだろう?

ヒトの家にあがりこんで、冷蔵庫に入っていたビールをもうすでに数本あけているこの男は、俺の母方の従姉の御長男。

ややこしいな。

まあ簡単にいえば「親戚のコ」、創一朗。

ちょうど10歳年下のコイツはオレのマンションのすぐ近くにある結構な有名大学へ通っているため、近所で一人暮らし中。

お互いの実家も近かったから、幼少のころからよく知っている。


「創一朗くん。もうその台詞は聞き飽きてきましたよ。 そう言ってていつも次の週には新しい女の子連れて歩いているではありませんか?」


俺はもう何本目かわからないビールのプルタブを開けながら、多少の嫌味をこめて普段使わない敬語で言ってみる。


「仕方ないじゃん。俺がフリーだと分かった途端寄ってくんだから。ミンナ強引すぎて断る隙を与えてもらえない」


ホント嫌なヤツ。そのうち刺されるなきっと。




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