さよなら3年生 (1/12)
2月に入った
今月は部活ができない日が多い
再来週の学年末テストが終わると、その次の週は高校入試がある
その2日後が送る会なのだ
「練習できる日少ないよね」
「ほんと。何でこんな時に…」
だいぶ慣れてはきたが、まだまだテンポについていくのがやっとだ
来週からはテスト休みも始まってしまう
任されたからには頑張りたいが、時間もない中で間に合うか不安である
「…冴羅、これから7時半に学校に来れる?」
合奏のあと、個人練習をしていると麻里乃が尋ねてきた
「うん。頑張れば大丈夫だと思うけど…」
「朝練しよ、朝練!楽器庫でさ」
「えっ?いいけど…3年生に聴こえたりしないかな。3年生の教室と結構近いよね」
「楽器庫でやればいいの。あの部屋、防音効果最高だし。あたし、たまに朝練してたから」
「そうなの!?知らなかった…」
麻里乃の朝練の音が聴こえないなら、やはり防音効果があるのだろう
これならテスト休みで部活ができない分をカバーできる
次の日からあたしたちの秘密の特訓は始まった