鯨は煙の波を泳ぐ
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と、思う。
彼女……カイ、と名乗ったあの子に自分のタバコを渡した。普段誰にもあげたことの無い、自分のタバコを。
タバコに限ったことではない。
基本的に自分のものを誰かにあげたことなど今まで無かったかもしれない。
何故、と聞かれると理由は分からない。
強いて言えば、相手のことに興味が無いから。
人に興味が無い、人のものに興味が無い。
自分の気に入った銘柄があるからそれでいい。
他の味など知らなくていい。
一人ひとりが自己完結すれば 円滑に済むものを、どうしてみんな無闇矢鱈と踏み込もうとする?
面倒だ。面倒事は嫌いだ。
敵は作らず、誰の味方にもならず、のらりくらりとここまでなんとなく生きてきた。
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