友達というカテゴリー


◆約束の場所 (1/1)

幼い記憶に約束の場所を思い出す優奈。





…………………………………………………





あの時に友梨が言ったあの一言……



優奈「ま,まさか……。」



私は急に自然と駆け出して


何も考えずに一直線に走っていた。



何か大切な事に気づいた時には遅いのは知ってる。


でも,私には友梨が本当の友達だって


親友だって気づいたからこそ


もう遅いなんて思いたくない。



だから


友梨


もう一度


会いたい。



会って言いたいんだ。


この気持ちを……



私をこんなにも救ってくれた大切な『友達』に。










あの過去の記憶の中に


工事中のビルの約束を思い出した私。


あの時,初めて友梨の泣いてる姿を見た。


あの約束がまだ二人の心に残ってるなら


必ず


必ず友梨はそこにいるはず。



私はそう信じて


幼い二人の思い出の場所に向かった。



今ではもう完成しているビルだけど


必死にその階段を上がり


懐かしい記憶と共に一つ一つ上にあがりながら


幼い私に戻っていった。





そして


屋上のドアを開ける私。



そこには暗闇の星空の中に……





【友梨の後ろ姿が見えた。】





思わず声がでる。





優奈「友梨!!」





振り向かない友梨。


そんな友梨の姿を見て


私はゆっくりと友梨に近づいていく。



優奈「友梨……何処にいたの?ずっと探したんだよ。学校にも来てなかったし……何かあったの?」



私の問い掛けに


何も答えてくれない……



優奈「友梨!!!」



そう私が名前を叫ぶと


友梨が言ったんだ。



友梨「もうやめてよ!!!」



背中で何かが伝わる事がある……



友梨「もう…こんなのヤダよ!!!」


優奈「………。」


友梨「どれだけ悩めば気が済むの?」



私はなぜか何も言えなかった……



友梨「優奈……友達って何?」


優奈「………。」


友梨「親友って何?」


優奈「………。」


友梨「私だけ思うのは辛いよ!!!二人が手を取り合うのが親友でしょ!!!いつまで私は優奈の味方をしないといけないの?」


優奈「………。」


友梨「優奈!!!答えてよ!!!私に教えてよ!!!」



誰にでも知らない部分がある……



優奈「友梨……。」



こんなにもたくさんの人がいるのに……



友梨「私……優奈の事を考えるの……疲れたよ。私は……優奈の知らない所で……必死に我慢して……辛いことも言えなくて……それでも親友だと信じて優奈を忘れなかった。でも……優奈は私の事を考えてくれてる?」



こんなにも大切なものが近くにあるのに……



友梨「昔のあの頃が……よかった。」


優奈「………。」



どんなにあがいたって得られないものもあるんだ。



友梨「あんなに楽しくて……あんなに純粋で……傷つく事も恐れなくて……仲良しで……。」



友梨の背中が震えてる。


足元には雨粒の様な涙が落ちていく。



友梨「なんで大人へ成長するたびに,友達って存在が変わっていくの?私は……もう明るくなんてできないよ……。優奈のためにずっと明るく自分を振る舞ってきたんだよ!!!優奈のためにたくさん傷ついても我慢できた!!!優奈が楽しかったら……それでよかった……。それなのに……私は……私は……」



今度は


私が


友梨を救わないといけない。



そんな気持ちが私の心を包んでいく……



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