友達というカテゴリー


◆幼い二人 (1/1)

消えた友梨を探す優奈は大切な事を思い出す。





昔の記憶を思い出すたび


何かを私は忘れてる気がしてしまう。


今まで友梨とは親友で


幼い頃から私たち二人は一緒だったのに


いつの間にか私自身が変わってしまって


友達との付き合い方も勝手な視点でとらえて



そんな私は


友梨の事を


どれだけ知ってるのだろうか?



案外


知らない事が多いのも事実。





【私は……何も知らない。】





知らない相手の気持ちになって考えるなんて


ただの見かけ倒しの友達にすぎなくて


そんな自分の弱さや不甲斐なさが


今になって辛く感じてしまう。





夕日が沈み


街灯が一つ


また一つ明かりをつけていく。



幼い幻影が


また私に思い出させる。



友梨「優奈!今日は楽しかったね。」



日が沈む頃


友梨が笑顔でそう言った。



優奈「あっ…もう帰らなきゃ……。」



楽しい時間のせいで


時計を見るのを忘れていた私は


周りの景色が変わっているのに気付いて


帰りの時間を気にしていた。



友梨「そうだよね〜。あっ!そうだ。」


優奈「なに?」


友梨「私の秘密の場所を教えてあげる!」


優奈「でも,友梨。私……もう帰らないと…」



俯く私を


友梨はこう言ったんだ。



友梨「そんな悲しい顔しないで!時間はかからないし。それにその場所は,ここからすぐ近くだから……ね!」


優奈「う,うん……。」



私は友梨に言われるまま


その秘密の場所についていった。


どんな場所なのか気にならないわけもなく


私は友梨と手をつないだまま


その場所を目指した。



辺りが段々と暗くなり


そんな中でも友梨は私の手をひいて歩いていく。



そして


しばらく歩くと


ある工事中のビルの階段上がり


その屋上へと辿り着いた。





そこには


私の住む町並みがキラキラ光って輝き


宝石を散りばめた様な光景が広がっていた。



優奈「うわぁ〜〜!!!凄く綺麗!!!」


友梨「でしょ〜!優奈に見せたかったんだぁ〜。」


優奈「こんな所に入って大丈夫かな?」


友梨「気にしない!気にしない!」



私の不安をよそに


友梨の表情は輝いて見える……



友梨「あそこが私のお家!そして…あっちが優奈のお家!!小っちゃい(笑)」


優奈「ホントだね(笑)」



何かそんなおもちゃみたいな小さな町並みを見ていると,私たちがちっぽけな存在に見える。



友梨「私ね……」



真剣な顔で


何かを友梨が話しだす。



友梨「私のパパとママ……明日,離婚するの(笑)」


優奈「り,離婚……?」


友梨「もう……一緒にはいないって事。」



そう言うと


友梨の目から何か光るものが見えた。



友梨「私ね……そんなの嫌だって言ったんだけど,やっぱりダメだったんだ。」


優奈「友梨……。」


友梨「だから……私は辛い時,ここに来て綺麗な町並みを見て忘れるの。」



友梨が泣いている……


あんなに明るい友梨が泣いている……



その事実に私は


友梨が弱い女の子に思えた。



友梨「優奈……。私たち,ずっと『友達』だよね?」


優奈「うん!友梨とはずっと……ずーっと友達だよ!!」



私は心からそう言った。



友梨「じゃあ,どんな事があってもずっと一緒だよ。」



友梨が号泣しながら私に言う。


私もそれに答える。



優奈「ずっと一緒だよ!友梨!!」



右手を出す私……



友梨「ありがとう。優奈…。」



こんなにも泣く友梨を今まで見たことがなかった。



友梨「もし……二人が離れそうな時は,またここに来て手をつなごうね。」



そう言って友梨は私と手をつないだ。



優奈「うん。約束だね。」


- 15 -
前n[*][#]次n
⇒しおり挿入
/19 n


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?


[←戻る]