2等星


◆汚れた二人 (1/1)
自殺サイトで出会う二人の男女



僕たちは,何のために生きているんだろう。


生きる目的をなくした人はどこへ行けばいいと思う?



「君はどう思うかな?」



「私にもわからないけど…。」



「でもね,私もあなたと同じだよ。」



「私もあと一週間たって死のうと思ってたから…。」



「そうなんだ…良かった。」



「やっと見つかったよ。」





[なぜ生きるんだ?]と僕はいつも自分に問いかけていたことがある。

だけど…僕はいつもこう答えていた。



[一人じゃ死ねないからって…。]



単なる臆病者なのかもしれない。自殺サイトで一緒に死ねる人を探しているんだから。



人生の目標…。

平凡な家庭に産まれた僕は小中高と何の目標もなく過ごし,親が敷いたレールにのって階段を上がってきた。

でも,ずっと何かがおかしいと感じていたんだ。きっとそれは自分の生きてるって証明が何一つできるものではなかったから。

イジメや暴力,SEXや薬…人間の欲望は計りしれない。そういうものを見て体験していくたびに世の中が腐ってみえた。


僕がおかしいのか?


それとも世の中が間違ってるのか?


そう考えるたびに僕は生きている心地がしなかった。

結局,高校を卒業した僕は親のレールから外れて何もしない生活が始まった。何の目標もなく…人生の生きがいもなく…生きている価値もないグレーゾーン的な人間…


それが僕なんだ。






私はずっと孤独で寂しさにいつも振り回されていた。

一人になるのがすごく怖かった…ずっと寂しかった。

物心ついたときに両親が離婚…

どっちについていくか究極の選択を迫られ…幼い頭で必死に考えて…優しかったママについていくことを決めたの。でも,その選択が間違っていた。私を養うために必死で働いていたママは,反抗期の私に仕事のストレスをぶつけるようになった。言葉や手や足で…毎日たくさん傷つけられた。辛くて…苦しくて…悲しくて…寂しくて…私なんか産まれてこなきゃよかったと自分を責めるようになった。

そして,私は寂しさを紛らわすかのようにいろんな男の人と付き合った。体だけの時もたくさんあった。でも,それでもよかった…たった一夜でも,たった一秒でも孤独を感じたくなかったから…それで人の温もりを感じる事ができたから。

でも,結局わかってしまう。

捨てられ裏切られ騙されて…




[一人になる。]





[孤独になる。]





周りの人達は,私を汚く悲しい子猫のようにしか見てない。ペットのように扱われ,いらなくなったら捨てられる。

そういったことに気づいたとき,私の存在価値がゼロだと思ったの。

だから…死んで自分の存在を消したかった。



それが私なの。


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