薄幸の堕天使、設定集
[語られざる物語り、『七』](1/2)
旅立ち前に


「よう。」

 五区の街。鬼遣いスネルフは、とある飲食店の中にいた。

 所謂ファミレス的な広い店内だが、鼠族騒動の被害にあったらしく、所々荒れている。


 まぁ、他と比べてマシな方ではあるのだが。



「おぉー? スネルフさんじゃあないですかー?」

 スネルフの姿に気付いた、女性のウェイトレスがニヤニヤと笑う。

 肩まで届く、ボサボサの茶髪と焦点の定まらぬ不気味な目。

 彼女の名はミニュトライ。アクルも立ち寄ったこの店の店員さんである。


 ちなみに、実を言うと、この区に来たばかりのアクルを襲ったヘンタイ殺人鬼の片割れ、トライアングルという青年とは血縁関係にあったりするのだが、互いにそんな事情は知らないし、会った事すらない。


 五区とは、そんなものである。

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