グッド騎士(リメイク前)
第十八話[ルシファーの秘密](1/12)
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玉座の間。

床は大理石に真紅の絨毯。
高い天井は白い柱に支えられている。
玉座には女性が。
倭国で、水龍雫が見せてくれた『過去の映像』に現れた女性だ。
彼女のすぐ側に、大きな円形の鏡が飾られている。
マリア達は息をのんだ。
彼女が女神ハーラ・・・。

外見年齢は三十前後。
髪の毛は真珠色で、瞳はエメラルドとサファイアのオッドアイ。
しかし彼女は『過去の映像』とはまるで別人のように痩せこけていた。
まるで麻薬中毒の患者のようだ、とプライゼは思った 。
露出度の高い黒い服。
そして珍しい髪色を隠すように、黒いベールを頭に被っている。


「ハーラ様は相変わらずですよ、ミカエル様」


ミカエルに耳打ちするラファエル。


「ハーラ様…ただいま戻りました」


ミカエルは前に出て、跪いた。
マリア、メーテル、プライゼも続く。


「天嫁を連れ戻しに地上に向かって何年が経ったかしら…? ずいぶん遅いじゃないの」


ハーラはミカエルにそう言った。
恐ろしく冷たい声で。


「も、申し訳ございません…」
「ふふふ…冗談よ…わかっているわ。メフィスト・フェレスに記憶を消されたのでしょう?」


女神は笑ったが、ミカエルの緊張は解けなかった。


「マリア…天嫁よ」


ハーラは優しい声でマリアを呼んだ。
まるで愛する我が子を、母が呼ぶように。


「私がわかるかしら? 私は時々、あなたに話しかけていたのよ」


マリアは言われて初めて気が付いた。
たまに聞こえる『マリアにしか聞こえない声』は、女神ハーラの声だったのだ。


「私はあなたの目を通して、あなたの人生を、世界を見てきたわ。この鏡を使って」


ハーラは側にあった鏡を指差した。
鏡が光り出し、光が治まるとそれはもう鏡ではなかった。
言わば映像を映す装置…。
マリアが今、目で見ているものがそのまま映っている。


「私はあなたが子供の頃から、あなたが見たもの全てを、この鏡で見てきた。あなたとエレの息子の関係、ミカエルが地上で行ったこと、ルシファーが地獄から抜け出してエレと一緒にいること、戦争が起きたこと…何でも知っているわ。勿論、あなた達が私に何を願いに来たのかも」


ミカエルはマリアの前で天使とは思えぬ発言をしていた…それも全て見られていたのだろうか?
マリア、メーテル、プライゼは不安になったが、当のミカエルは全く気にしていないようだ。


「それなら話が早いぜ! 女神様、ご存知のとおり、今地上では戦争が起きています。敵の総大将は破壊の女神エレ…ですが、彼女の本心は戦争を望んでいないと、水龍から聞きました。全てはエレの側近…メフィストの企みだと。女神様、どうか我々をお助けください! このままでは地上の世界が…滅びてしまいます!」


プライゼが興奮気味に話す。





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