グッド騎士(リメイク前)
第十七話[天界](1/11)
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「おはよー。パパだよマイエンジェル」
プライゼは毎朝六時に起きて、娘にモーニングコールをかけるのが日課だった。
レイナは学園の寮生活をしているので、マーベリック城にはいない。
『やめてください…毎朝毎朝気持ち悪い…』
不機嫌そうに返すレイナ。
「んだよ。せっかく寝坊しないように起こしてやってるのに」
『私は寝坊なんてしません』
だろうな、とプライゼは思った。
真面目な性格のレイナは、無遅刻無欠席、成績も優秀と自慢の娘だった。
俺の若い頃は大違い…勉強は好きだったから成績は良かったけど、それより夜遊びが好きだった。
寝るのはいつも夜中の三時すぎ。
寝坊も多かったし、ずる休みもした。
酒、煙草、女…十三歳で初体験をすませて、十五で孕ませ子持ちに。
自分に似なくて本当に良かった。
『…私、今日学校休みます』
「どうした?! 病気か? 父様が診てやるぞ? 必要ならば手術だって…」
『ち、違います…! 体調が悪いとか…そんなんじゃなくて…』
「ずる休みは許さねえぞ?」
ずる休みを許してはいけない。
不良、ひきこもりになんて絶対にさせない。
『…私、こんな体で教室になんて行けません…昨日、先生にも驚かれたし…』
「ああ! そういや、ルシファーに大人にしてもらったんだっけか」
『そんないやらしい言い方やめてください! とにかく、私この体で教室行けません! 元に戻るまでは、学園に行けません…』
「はあ? 自分でお願いしたんだろ? 自業自得だろ。学校に行け。んなくだらない理由で休んで、勉強が追いつかなくなったらどうするんだ? 俺は教えてやんねーぞ? それに、いつ戻るかわかんねーし。何日も休むことになるかもしれねーだろ?」
確かに、後のことも考えず、大人になりたいと願ったのは自分だ。
しかしルシファーに頼んだわけではない。
あの男が勝手にやったことだ。
『でもお父様、こんな姿で教室に行ったら、思春期の男の子たちにいやらしい目で見られるかも…』
どうしても学校に行きたくないレイナ。
親バカであるプライゼにそう言えば、説得出来ると思った。
「それは…まずいな」
自分が十三歳の頃、巨乳美人教師のトリコだったことを思い出す。
「わかった。俺が学園長に話しておこう。学園は暫く休校。全校生徒は実家に帰る!」
レイナの皆勤賞の為に、プライゼは学園を休校にするつもりだ。
『えっ…何もそこまでしなくても…』
「よく考えたらこの国もいつ戦場になるかわからないしな。学校なんか行ってる場合じゃないだろ。レイナ、お前もこっちに帰ってくるんだ。いいか? じゃ、またな」
返事を待たずに電話を切ると、プライゼはすぐに学園長に電話をした。
国王直々の命令に、逆らう筈もなく、学園は戦争が終わるまで休校になった。
プライゼは部屋を出て、寝巻き姿のままで法王の部屋へ向かう。
レイナへのモーニングコールの後は、法王の部屋に行って容態を見る…これはプライゼの日課だった。
「あれ、ジョイ…早いな」
法王の部屋には既にジョイがいた。
今日もナース服の上に紫色のカーディガンを羽織っている。
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