グッド騎士(リメイク前)
第十四話[好きな人](1/14)
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マリアは天嫁だった。
自分の両親が本当の両親ではなかったことより、ルシファーの気持ちの方がマリアはショックだった。

確かに母親のことは好きだった。
しかし母との思い出は少ない。
父親は最低なクズ。
だからそれほど胸は痛まなかった。

ルシファーは本当に、天嫁の力が欲しいだけだったのだろうか?
愛の言葉も、キスも、本当は何の気持ちも無かったのだろうか?


『馬鹿ね。だからルシファーはやめたほうがいいって言ったのよ。あの男は口がうまいし、利用出来るものは何でも利用するのよ』


マリアにしか聞こえない、例の女の声が聞こえた。

確かにそうかもしれない。
ルシファーは大人の色気溢れる女性が好みに決まっている。
だからエレの側にいるのかも。
マリアは泣きたくなるのをこらえた。


「あの映像に映ってたハテルダって・・・」


レイナがミカエルに尋ねる。


「ハテルダ様は、誕生の女神ハーラ様です。本名はハテルダ・レインエール。破壊の女神エレ様の双子の妹です。・・・あまり似ていませんが。
ルシファーはハテルダ様のことを昔から誰よりも愛していました。でも、ハテルダ様が人間と結婚して・・・嫉妬に狂った彼は、ハテルダ様の夫を殺したのです。息子まで誘拐して、宣戦布告を・・・私は絶対にルシファーを許しません・・・!」

マリアは更にショックを受けた。
ルシファーがハテルダを愛していたなんて、初耳だ。
恋人ではない、と本人は言っていたが・・・まさかルシファーの片想いの相手だったなんて。
これでルシファーが隠していた反逆の秘密もわかった。
マリアはたえられず、ついに泣き出してしまった。


「ひ、姫様? 僕、何か余計なことを・・・?」


彼女がひそかにルシファーを想っていただなんて、夢にも思わないミカエルは、涙の理由がわからなくて困惑した。


『・・・他に、質問はありませんか?』


水龍が急かすように言う。


「どうすればエレ様が起こした戦争を止められますか?」


ルヴァレインが水龍に尋ねた。
この質問は、マリア達が一番聞きたかった質問で、この質問をきくために倭国まで来たのだ。

再び水面が光り、映像が流れる。





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