グッド騎士(リメイク前)
第十三話[真実の湖](1/12)
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早朝の台所。
レイナと雫は朝食の準備をしていた。
焼き魚のいい匂いがする。


「先生も、いい加減いいお嫁さん見つけないと・・・独り暮らしは寂しいでしょう?」
『そうは言っても、良い女がいないからねえ・・・』


おにぎりを握っているレイナの胸を、雫は触る。


『はあー麗命、お前ももう少し成長しなさい。いつまでもこんなペチャパイじゃあ、私の恋愛対象にはなれないぞ』


もめる程の大きさも無い貧乳。
雫は興味を無くして手を離す。


「先生! もし私がおにぎりを握っていなかったら、絞め殺していましたよ?! それに私はこれから成長するんです!」


レイナは頬を膨らませた。


『はあ・・・まあ、冗談抜きで、良い女がいないんだよ。私と同じくらいの歳で、私の声が聞こえる女がいないいない・・・聞こえるのはガキの声だけ。まったく、最近の女は・・・こちとらガキに興味無いのに・・・』


皿の準備をしながら雫は言う。


『マリア王女・・・初めて実物を見たけど、可愛かったなあ・・・しかも私の声が聞こえるなんて・・・』
「ちょ、ちょっと待ってください! 先生、マリア様を狙ってるんですか?! だ、駄目です! マリア様には想い人が・・・」
『そうだよねえー・・・あー残念』


レイナは複雑な気持ちでいた。
マリア、マリア、男は皆マリアばっかり。
メーテルもミリアもプライゼもマリアが好き。
雫までもマリアを気にしている。
確かに、マリアが美人なのは認めるが・・・。


(やだ・・・私ったら、マリア様に嫉妬なんか・・・)


レイナは泣きそうになるのをこらえた。
メーテルとミリアが、マリアのことを好きなのは構わない。
父親であるプライゼが、彼女のことを好きと言っても気にしない。
なのに、雫だと胸が痛む。
一回りも歳が違う雫を好きになるなんて・・・。
相手は自分に全く興味ないのに。


『どこへ行くんだ?』
「ちょ、ちょっとトイレに・・・」


涙が出そうになって、レイナは雫に気付かれる前に台所を出た。



******



「あれ? 君って、お医者さんの娘だよね?」


庭の隅で泣いていると、誰かに声をかけられた。


「あ・・・あなたは・・・」


振り向くと、そこにいたのは父の顎を治してくれた男。


「話したのは初めてだっけ? 私の名前はルシファー。女神に嫌われて天界追放された元天使。よろしく。何で嫌われたのとか、説明するのダルいから聞かないでね」





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