グッド騎士(リメイク前)
第十二話[雫の湖](1/11)
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一行は雫の家で夕食をご馳走になる。
食卓には魚料理をメインとした、豪華な倭食料理が並んでいる。
雫とレイナの二人で作った料理だ。
『麗命に事情は伺いました。是非お泊まりになってください。部屋はございますので、どうぞ御遠慮せずに』
雫はお碗にご飯を装いながら言う。
「・・・いいのですか?」
『私は一人暮らしなので、こうやって大人数の方が泊まってくださると嬉しいのです』
気を使うミリアに、雫はにっこりと微笑みながら言った。
『改めましてもう一度自己紹介を・・・私は水龍の湖を管理する水龍雫(みなかみしずく)と申します』
「水龍・・・」
『はい。水龍とは、倭国の守り神とされている龍です。もとは水を司る天使・・・ガブリエル様の使いだとか。永遠の命を持つ水龍は、この国の安全をガブリエル様に任されたのですよ』
そんな龍がこの近くにいるのか。
マリア達に妙な緊張感がわいた。
とりあえず目の前の食べ物を口に運ぼうと、マリアは箸を持つ。
が、生まれて一度も使ったことがない箸に苦戦した。
周りを見てみると、プライゼとレイナは上手に箸を使えている。
ミリアは少し持ち方が不恰好だが、そこそこ使いこなしていた。
一方マリア、メーテル、ルヴァレインは、箸を前にして困惑する。
それを察した雫が、散蓮華やらスプーンやらフォークやら、沢山持ってきた。
『そうですよね、匙とか肉刺が無かったら食べられませんよねっ。気がきかなくて、申し訳ございません!』
「あっ、いえ、こちらこそごめんなさい!」
マリアと雫は互いに謝り合う。
真面目で、とても丁寧な雫を見ていると、なんだか申し訳なくなってきてしまうのだ。
「僕達は水龍に会いに来たのですが・・・会えますか?」
ミリアは本題を言う。
『えっ、水龍の湖に行くのですか・・・? 水龍の湖に行ける者は限られています。私の声が聞こえる者なら会うことは可能ですが・・・』
プライゼとメーテルは会えない、ということだ。
仕方ない。
一行は話し合った結果、メーテルとプライゼは屋敷で留守番をして、他の者達で水龍の湖に行くことにした。
行くのは明日の早朝。
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