グッド騎士(リメイク前)
第十話[優しい心](1/11)
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「殺す・・・殺す! よくも私の足を・・・よくも私の作品を・・・!」


片足を無くしたメフィストは、杖を使って立ち上がる。
彼の怒りと憎悪はプライゼに集中している。


「馬鹿、暴走したグッド騎士の力は、天使の力に匹敵するぞ」


メフィストは片手を掲げて呪文を唱えようとしたので、ルシファーはやめるように言った。
しかしメフィストは聞かない。
ルシファーは舌打ちする。
そしてメフィストの呪文が発動する前に、彼に呪文をかけた。
一瞬で闇に飲まれ、メフィストは消えた。


「い・・・一体何をしたの?」


メーテルは恐る恐る尋ねた。
まさかこんな簡単にメフィストが死ぬわけ無い。


「強制転送・・・ヴォルフィードに帰しただけだ。バカな奴・・・今のコイツに魔術を唱えたって、跳ね返されるだけなのに」


ルシファーはプライゼの顔を見ながら言った。
まだ白目でいる。
鼻血も一向に止まらない。


「プライゼは・・・大丈夫なの?」


再びメーテルが尋ねた。


「怪我を治す前に、心を落ち着かせないと・・・」


ルシファーの言葉を聞いて、マリアが動いた。
起き上がり、足が痛いので這いながらプライゼに近寄る。
そして幼なじみの体を強く抱き締めた。


「王子・・・王子・・・もう大丈夫よ・・・」


泣く子をあやすように言う。
プライゼの鼻や、口から流れる血が、マリアの服を汚した。


「お前らだって・・・生物の命を奪ってるじゃないか・・・人間が魚や鳥、豚や牛を食べるように、私達も人間を食べる・・・そうしないと生きていけないから・・・なのに何故私達だけが責められる? 何故お嬢様が罰を受けなければならないんだ・・・?」


か細い声でヘルベルトは言う。
生気を失ったような表情をしていたが、その瞳は憎悪で燃えていた。
それを言われてしまうと、マリア達は何も言い返せない。


「そう。この世界は弱肉強食の世界。私はあなた達が悪者だと思いません。・・・きっと女神ハーラもそう思うでしょう。
どうしますか? ここで仇をうちますか? しかし、それは利口な選択だとは思えませんね。今の状態だと勝ち目はありませんよ。敵が多いのに対して、あなたの味方は一人もいない。私はあなたの味方をする気もないし・・・。
ここで戦って死ぬよりも、今は耐えた方が良いのでは? あなたは吸血鬼族の最後の生き残り・・・吸血鬼を増やし、仲間を増やしてから仇をうつのもよし。復讐は諦めて、吸血鬼の村をまた建て直すのもよし」





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