真野ちゃん法度。




以上、守れない人…金棒でぶん殴るから。(クビ、減給、私物廃棄も選択可)え?この決まりの名前?真野ちゃん法度に決まってるでしょ!!(1/62)


「………ざけんな」





『…俺の後任は…天。おまえに任せる』



逢坂さんの言葉を受けた天くんは、小さな声でそう呟いて。

ゆっくりと顔を上げて、向かいに座る逢坂さんを見た。



「…オッサンの顔、見てみなよ。すっげー、辛そうじゃんか。ずっと、オッサンと一緒にやってきたんじゃないの?ずっと、オッサンの隣に居て支えてやるんじゃなかったの?」


「…」


「…蒼くん居なくなったら、この人どーすんの?蒼くんだけは、ずっと原口さんの隣に居てやるんだと思ってた。…信じてたのに」





…ダメだ。

逢坂さんの決めたことは応援するって、そう決めたのに。

天くんの悲しそうな、辛そうな顔を見ていたら、その気持ちが揺らぐ。





「蒼くん、原口さんには恩があるって言ってたじゃん。何があっても、原口さんについてくって言ってたじゃんか。…なのに、蒼くんを家から追い出した親の方を優先すんの?………原口さんに対する裏切り行為じゃん。そんなん」





逢坂さんは、何も言わずに天くんの言葉に耳を傾けている。

時計の針の音と、航大くんのすすり泣く声だけがする、静かな空間の中で。

「それは違う」と、静かに言ったのは、ザイルさん。





「どんなに離れている時間が長くても、親であることに変わりはない。副長は、親のために何かをしたいと思った。…ただそれだけのことだ」


「………」


「隊長はそういう気持ち、一番よくわかるんじゃないのか」


「………わかるよ。わかっけど………無理だって」





天くんも、辛いんだよね。

本当はとても慕っていて、尊敬しているから。逢坂さんのこと。

一緒に居るのが当たり前だと思っていたから。逢坂さんと。

急にこんなことになって、辛いんだよね。






「…無理。俺に、蒼くんの代わりとか出来るわけねーじゃん」


「なに弱気になってんだよ。誰がてめぇに毎日色々教え込んできてやったと思ってんだ?」


「………無理」


「…天。おまえ、真野が落ち込んでた時に、頭使ってすげぇ力発揮したじゃねぇか。おまえはやれば出来んだよ、ほんとはな」


「………あれは真野ちゃんのためだから。真野ちゃんのこと以外には、力なんて出せねーし、頭なんか使えねーし。つーか、あん時、全ての力を使い果たしたし」


「…俺を一番近くで見てきたおまえなら出来る。自信持てバカ」


「…そういうの要んない。俺の代わりがてめぇに務まるわけねぇだろって…いつもみたいにムカつく顔で言えばいーじゃん…」




下を見て、声を震わす天くんと。

天くんのことを、優しい目で見る逢坂さんと。

…2人のことを見ていたら、涙が止まってくれない。





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まえ[*] つぎ[#]
しおり挿入





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*Tenn's story*
ねーねーなっちゃん。
続編ではありませんが「真野ちゃん法度。」のその後のお話になります。
真野ちゃんを読んでいなくてもわかるようにはしていますが、読んだ後の方が楽しんで頂けるかと思います。




*既婚者♀(年上)×独身♂(年下)*
Lily.


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