真野ちゃん法度。




口オフィスの宣伝は皆でするべし。(1/21)


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ザイルさんのデスクの上の木彫りのマグロが、2つから3つに増えた。

3つ目のビッグサイズのそれは、航大くんが一昨日、ジャンケン大会でゲットした物。


――航大くんは今日、会社を休んでいる。



「汚いわね…」



汚いオフィスに、思わずため息が漏れる。ゴミ箱から溢れそうなゴミの山。

まず、ティッシュが多すぎよ。どんだけティッシュ使ってるのよ。何を拭いてるのよ。



「いやー…昨日くしゃみ止まんなくてさ!!かんでもかんでも鼻水出てきて!!…誰だ〜?俺の噂をしたのは☆」



俺の噂をしたのは☆じゃないわよ。…誰もしてないわ。どんだけ鼻水出たの?汚いわね。


というか、何なの。この床に散らばるゴミは。…ゴミはゴミ箱に捨てなさいよ。



「あ!!真野ちゃんそれ捨てちゃダメだから!!」


「は?ゴミでしょ?これ」


「ゴミじゃねーしっ。大事な資料だし」


「…これが大事な資料なの?床に捨ててあるのに?」


「捨ててんじゃなくて、置いてあんの!!あぶねー、大事な資料捨てられるとこだったわー。捨てたら怒られんの俺じゃんか。勘弁してまじで。………あ、そっちのはゴミだから捨てといていいよー」



うざいわね。要る物と要らない物の境界線が全くわからないんですけど。…というか、大事な資料を床に置くなよ。



「おい、真野。これも捨てて」


「…え?…これ朝捨てたばっかりよ。どうしてもうこんなに吸い殻が溜まってるわけ?」


「吸ってっから溜まってんだろ」



どんだけ吸ってるのよ。たまには自分で捨てなさいよ。



「リーダー。花の水やりはやっておいた」


「…ありがとう。ザイルさん」


「だけど…床に水をこぼしてしまった。何か拭くものを…」


「あぁ…。私拭いておくからいいわよ」


「すまない…」



どうしてお花に水をやるだけなのに床に水がこぼれるの?

手元狂いすぎじゃない?何があったの?ザイルさんに何があったの?



「真野ちゃーん。こっちも拭いてー。ジュースこぼしちったー」

「真野。コーヒー買ってこい」

「あれっ!?真野ちゃん!!ティッシュなくなった!!」

「リーダー。やっぱり俺も拭くの手伝う」

「やべーってまじで!!どんどん範囲拡大してるー。あ、やべっ、資料濡れた!!つーかティッシュ!!原口さんティッシュ!!」

「今なくなったところだ!!ちょっと待て、新しいの…真野ちゃん!!新しいティッシュどこだっけ…!?」

「おい真野。遅ぇんだよ」

「拭くの手伝う」



………。



「…うるっさいわね!!もう!!皆自分のことは自分でやってくれる!?ジュースなんて飲んでるからそういうことになるのよ!!…っていうかデスクが汚すぎるからそういうことになるの!!少しは片付けなさいよそのジェンガみたいなの!!ていうかコーヒーくらい自分で買ってきてくれる?私はあなたのパシリじゃないんですけど!?それからティッシュはあそこの棚よ!!見えないの?目悪いの?だいたい鼻かむだけなのに毎回6枚も7枚も使うんだから、そりゃすぐなくなるでしょうね。無駄遣いはやめなさいよ。あとこぼれた水はもう拭いたから大丈夫よ、ありがとうザイルさん!!」



はぁ…、疲れるわ…。



「すげぇね…。真野ちゃんめっちゃ滑舌いいじゃん。ビビるわ」

「何キレてんだおまえ」

「ティッシュ発見したぞ!!」

「すまない…真野リーダー…」



もうやだ。航大くんが居ないと、無法地帯すぎる。





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*Tenn's story*
ねーねーなっちゃん。
続編ではありませんが「真野ちゃん法度。」のその後のお話になります。
真野ちゃんを読んでいなくてもわかるようにはしていますが、読んだ後の方が楽しんで頂けるかと思います。




*既婚者♀(年上)×独身♂(年下)*
Lily.


⇒作品レビュー
⇒モバスペBook

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